やってみなくちゃわからない!ホソノ

これまでの大科学実験

実験05 高速で止まるボール!?

速度は見る場所によって違う相対的なもの。時速100kmで走る車から、後方に時速100kmでボールを打ち出すとボールはどう見えるだろうか。ハイスピードカメラで、ボールが走る車から打ち出される瞬間を激撮する。

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※番組の配信は2014年3月31日をもって終了しました

コラム今回の実験 「高速で止まるボール!?」

 時速100kmの車から投げられたボールが止まる場面を初めて見たとき、思わず「うわぁ」と声をあげてしまいました。マシンから、空中にむけてボールをそっと置いているようにさえ見えます。

 番組の中では使われていませんが、今回のテーマは科学の言葉を使うと「相対速度」。相対って、何だかむずかしい言葉ですが、中味は簡単です。「相手に対して自分は」あるいは「自分から見て相手は」ということ。番組では自転車の実験で説明していました。

 電車に乗っていると、反対方向に走る電車とすれ違うときに、「自分の乗っている電車に比べて、向こうはずいぶん速いな」と感じることがあります。でも、実は逆方向に乗っている人もまったく同じように「向こうは速い」と感じています。自分の乗っている電車のスピードが時速40km、逆方向の電車が時速45kmだとすると、両方のスピードが足し算されて時速85kmに感じます。

 さて、今回の『大科学実験』は時速100kmで左向きに走る車から、正反対の右向きにボールを打ち出しています。ボールが車よりも速い時速110kmで打ち出されると、ボールは時速10kmで右向きに飛んでいきます。逆に車よりも遅い時速90kmでボールが打ち出されると、時速10kmで車と同じ左向きに進みます。車の走る方向とボールを打ち出す方向がお互いに逆向きだから、引き算になっています。

 あれ? すれ違って走る電車では足し算をしたのに、ここではなぜ引き算なのでしょう? これは、自分がどこにいるか(どの速さで移動しているか)によります。思い出してください。電車の例では、自分が時速40kmの電車に乗っている場合を考えていました。移動する電車に乗っているのですが、自分は立って“止まって”いるように見えています。その自分から見ると、反対方向にすれ違う電車は、自分の電車の速度とすれ違う電車の速度を足したスピードに見えるのです。

 『大科学実験』では、自分(カメラ)は地面に立って車とボールを見ています。ボールを打ち出した速度が時速100kmのとき、地面に固定されているカメラからは、ボールはそっと空中に置いたかのように見えました。車の速度とボールの速度の差がちょうど0になったのです。

 車には、ボールを打ち出すピンクの実験レンジャーが乗っていましたが、あの実験レンジャーからはボールはどのように見えたでしょう? 地上でカメラの周りにいた実験レンジャーは、ボールが止まるところを見られたのですが、あのピンクの実験レンジャーだけは車から時速100kmで飛んでいくようにしか見えなかったのです。ちょっと気の毒ですね。

詫摩雅子/元 日経サイエンス編集部
日経サイエンスブログ

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