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これまでの大科学実験

実験14「忍者になろう」

建物の屋上で受けた光を、入り組んだ建物の中を通して、遠いところに置いた箱の中にあてることができるだろうか?光の直進と反射の原理を利用して、ある建物の屋上から隣の建物に置いた箱の中まで、光を届ける。

コラム今回の実験 「忍者になろう」

 今回の実験テーマは、電気を通したり止めたりして、磁力(じりょく)のオン・オフができる「電磁石(でんじしゃく)」です。

 番組で紹介(しょうかい)されていたように、コイルを巻(ま)く数をより多く、流す電流をより大きくすれば、電磁石の力は大きくなります。ですが、じっさいにはコイルに使う導線(どうせん)の太さやコイルを入れる容器(ようき)の素材(そざい)も電磁石の力にえいきょうします。番組をよく見ると、かなり太いエナメル線を使っているのがわかります。鉄も電磁鋼(でんじこう)というとくしゅな鉄が電磁石には一番いいのだそうです。

  これもまた番組で紹介されていたように、何かにはり付いた磁石は垂直(すいちょく)に引っ張ってもなかなかはがれませんが、横にずらすことは比較的(ひかくてき)かんたんです。実際、強力な磁石をはがす時のコツとして「横にずらす」と紹介されているほどです。今回の忍者は、垂直に立てた鉄の壁(かべ)を登るので、磁石から見ると力は横方向にかかります。だから、ひじょうに強力(きょうりょく)な磁石にしないと忍者(にんじゃ)は落ちてしまいます。磁石の力のことだけを考えると、壁よりも天井(てんじょう)にはり付く方が簡単です。

  私たちのまわりにはたくさんの鉄製品(てつせいひん)がありますが、その多くは表面に塗装(とそう)がしてあります。そうしないと、すぐにサビが付いてしまうからです。ところが、この塗装がくせもの。塗装のある鉄板では磁石のくっつく力が弱くなり、とても人は登れないそうです。塗装していないむき出しの鉄板でないとだめで、それも表面(ひょうめん)にサビがあるとやはり、だめ。今回は、建築現場(けんちくげんば)などでくぼみの上にしいて使う鉄板をかりて、サビを落とすためにみがいて、つなぎあわせたそうです。

電磁石は磁石として働いてほしいときだけ、電流を流します。言いかえると、磁石として使っている間は電流を流したままです。超強力(ちょうきょうりょく)な電磁石を使うとなると電気代もかかりますし、電気を流したままにすると発熱(はつねつ)もしてあぶないです。その熱によって磁石の力も弱くなってきてしまいます。だから、強力な電磁石を使う装置では「超電導電磁石(ちょうでんどう でんじしゃく 「超伝導電磁石」とも書きます)」を使っています。

 超電導(ちょうでんどう)の素材は電気抵抗(でんきていこう)がゼロなので発熱せず、一度流した電流をぐるぐると流し続けることも可能です(ただし、超電導状態(ちょうでんどうじょうたい)を保(たも)つためにものすごく低い温度にし続けなければならないので、そのための装置や電気代がかかります)。超電導電磁石は、身近なところでは病院の画像診断(がぞうしんだん)につかうMRI(磁気共鳴画像診断装置=じききょうめいがぞうしんだんそうち)で使われています。身体を輪切り(わぎり)にしたような写真をとる装置です。また、開発中の磁気浮上式(じきふじょうしき)リニアモーターでも超電導電磁石が使われる予定です。

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詫摩雅子/元 日経サイエンス編集部
日経サイエンスブログ

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