やってみなくちゃわからない!ホソノ

これまでの大科学実験

実験16「時速100kmの振り子」

振り子の原理を使っておもりの速さを時速100kmにするためには、どうすればいいだろうか?回転半径50mの振り子を作って実験する。

※番組の配信は2014年3月31日をもって終了しました

コラム今回の実験 「時速100kmの振り子」

 今回の大科学実験は巨大振り子(きょだいふりこ)。振り子で時速100kmを目指します。

 振り子(ふりこ)の原理を簡単に紹介しますね。高いところにある物は、そこまで持ち上げるのに必要だったエネルギーを持っています。これを「位置エネルギー」といいます。高ければ高いほど持ち上げるのは大変ですから、高い位置にあるほど、位置エネルギーは大きくなります。

 物は支えがなくなると高いところから落ち始めます。低いところへと落ちていきますから、位置エネルギーはどんどん減っていきます。その代わり、落下(らっか)という運動をしていますので今度は「運動エネルギー」が増していきます。運動エネルギーは速ければ速いほど大きくなります。地球の重力に引っ張られて落ちている場合、落ちるにしたがってどんどん速度は増します。

 わかりますよね? スタート地点では運動エネルギーはゼロからだんだん大きくなり、逆に位置エネルギーは落ちるにしたがってどんどん減っていきます。位置エネルギーと運動エネルギーの2つのエネルギーの合計値は、空気の影響(えいきょう)などがなければいつも同じです。

 物をただ落とした時には地面にぶつかってそれでおしまいですが、振り子の場合は糸でつるされているので、一番下まで来た後はスタート地点から反対側に向かって上り始めます。上るにつれて位置エネルギーは増し、運動エネルギーは減っていきます。スタート地点と同じ高さまで上ると、速度はゼロになって、また落ち始めます。これを繰り返します。

 前回の摩擦(まさつ)はまだよくわかっていない部分が多く、紙質やページを変えながらの予備実験を繰り返したそうですが、今回の振り子は理論がしっかりとわかっています。ですので、番組にもあったように計算で振り子の長さを決めることができます。

 え? それじゃ「やってみなくちゃわからない」にならないって? その通りですね。でも実は、やってみて初めてわかったことがあるんです。番組では、一番下のD地点よりもその手前のC地点の方が速くなりました。あれは予想外だったそうです。あの場所にいた科学の達人も一瞬(いっしゅん)、「あれ、何でだ?」と思ったそうです。もちろん、すぐにわかったそうですが、理由はこうです。

 D地点とC地点は、高さにそんなに大きな差はありません。つまり、減る位置エネルギーの差は小さいので、増える運動エネルギーの差も小さいのです。一方、振り子のスピードが速くなってくると、ブレーキ役となる空気の影響が大きく効いてくるようになります。運動エネルギーの差よりも空気の影響の方が大きかったため、D地点のほうが遅くなってしまったというわけです。

 やっぱり、やってみなくちゃわからない!

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詫摩雅子/元 日経サイエンス編集部
日経サイエンスブログ

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