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これまでの大科学実験

実験18「ボールは戻ってくる?」

止まっている人が真上にボールを投げ上げると、そのまま手元に戻ってくる。走っている車から真上にボールを投げ上げると、ボールはどのように動くだろうか?

コラム今回の実験 「ボールは戻ってくる?」

 今回のテーマは「慣性(かんせい)の法則」ですが、はたして大実験の結果は…。

 慣性の法則は「リンゴは動きたくない!?」でも紹介しましたが、そのときの法則は「『止まっている物』は、外から力を加えない限り、その場に止まり続ける」というものでした。速度がゼロのリンゴはゼロのままで動かずにいることを大実験で示しました。

 今回は動く物。動いている物にも慣性の法則がはたらきますが、それは「『動いている物』は、外から力を加えない限り、同じ速度(そくど)で動き続ける」というものです。

 一定の速度で走るトラックの荷台から放(はな)たれるボールは、垂直方向(上下)には打ち上げの力と地球の重力がかかります。ですが、水平方向(横)には力がかからないので、トラックの動きとまったく同じスピードで動き続け、落ちた時にはトラックの網(あみ)にキャッチされる──はずだったのですが、結果は見ての通りでした。

 走っているトラックには、その速度に応じて風(=空気)の力がかかります。ボールも空気の力を受けて水平方向の動きは減速(げんそく)してしまいます。トラックにも風の力はかかっていますが、エンジンの力を使いながら同じ速度を保つように走っているので、ボールはトラックの後ろに落ちてしまったのです。風の力(外からの力)が加わったので、慣性の法則から外れてしまったのですね。

 番組では、ボールが空中でたどっている道筋を「きれいな山なり」と言っていますが、この形のことを「放物線(ほうぶつせん)」といいます。文字通り、「物を放った時に描く曲線」のことです。左右対称で美しい形だと思いませんか。番組では真上にボールを打ち上げていますが、斜め上に投げても放物線になります。

 大実験ではボールの届く高さはいつも一緒です。でもトラックの速さによって、横方向への移動量が変わるので、放物線の太さが変わり、それにつられてボールの落ちる場所も変わります。トラックが止まっている時は、真上に上がってそのまま真下に落ちますが、これはとっても細い放物線と見ることができます。

 ところで、放物線を英語ではパラボラ(parabora)といいます。聞いたことありますよね? パラボラアンテナのパラボラです。軸を中心にして放物線をぐるりと回すと、パラボラアンテナと同じ曲面となります。「太陽で料理しよう」の回でも紹介しましたが、光を一点に集める性質のある凹面鏡(おうめんきょう)もパラボラ面の一種です。物を放った時の道筋である放物線と、光を一点に集める性質のあるパラボラが同じだなんて、面白いと思いませんか?

 パラボラは冬に放送する回にも登場する予定です。楽しみに待ちましょう!

 下記のサイトに制作ウラ話をのせています。こちらもぜひどうぞ!

詫摩雅子/元 日経サイエンス編集部
日経サイエンスブログ

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