やってみなくちゃわからない!ホソノ

これまでの大科学実験

実験19「さわらずに球を動かせ」

特別に作った台の上にビリヤードの球を一列に並べ、片方の端に球を衝突させると、反対側の球が1個だけ飛び出す。並べる球の数を増やしていって600個並べた場合でも、反対側の球を動かすことができるだろうか。

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※番組の配信は2014年3月31日をもって終了しました

コラム今回の実験 「さわらずに球を動かせ」

 今回の主役はビリヤードの球。ずらりと並べた球の列に、キュー(=ビリヤード用の棒(ぼう))で突(つ)いた手球を勢いよくぶつけ、列の終わりにある球を動かそうというもの。

 さて、この実験、すべてが理想的に進めば、球がいくつあっても反対側の球は動くはずなのです。ですが、やっぱり「やってみなくちゃわからない」。番組では放送されませんでしたが、制作スタッフは35mよりも長い列でも実験をしました。50mでは何度やってもうまく行かず、列の途中にある球が横に落ちてしまったそうです。成功した35mでも、最後の球の動きは本当にゆっくりでした。

 なぜこうなってしまうのでしょう? 大実験の前にやったビリヤード台での実験にヒントがあります。

 ビリヤード台の上で、すき間をあけて並べた8つの球とぴったりくっつけた10個の球で比べた実験がありました。よく見て下さい。ぴったりくっつけた10個の球の方では、ビリヤードプレーヤーが突いた白い球(手球)は、列の先頭にある黄色い1番の球にぶつかった後、そこでぴたりと止まっています。1番から8番の球はほとんど動かず、9番の球が少し動き、10番がコロコロ転がっていきました。白い手球の動きが9番と10番の動きに変わったのです。

これに対し、すき間をあけて並べた8つの球の場合は、全部の球が少しずつ動いています。ぶつかった後の手球も動いてしまっています。ぶつかる前の手球の動きは、手球と8つの球の動きへと変わりました。このため、勢(いきお)いもなくなってしまいました。

 大実験を見てみましょう。衝突(しょうとつ)後、手球も先頭の黄色い球もはじき飛ばされています。まず、ここで最初の動きが減(へ)っています。すき間があると、球が動いてしまうのでその分も減っていきます。実験レンジャーは球をぴったり並べていましたが、どんなにがんばっても目に見えないほど小さなすき間はできてしまいます。球が多くなればなるほど、すき間は無視(むし)できなくなってきます。また、球が動くときには、台やレールとの摩擦(まさつ)も生まれます。レールを完全にまっすぐにすることも水平にすることも実際には不可能です。ビリヤードの球はぶつかった力をほとんどそのまま伝えることができますが、完全に全部を伝えることはできません。球が2~3個のときはこうしたことは無視できますが、大実験のように球の数が多くなると、これも無視できなくなります。すべてが理想的に進めばうまく行くはずです。でも、現実にはとてもできないのです。

 ところで、番組の冒頭(ぼうとう)のビリヤードをよく見て下さい。キューで突いた手球がぶつかった後に止まったり、そのまま転がり続けたり、反対側に転がったりしています。プロのプレーヤーになると、手球を回転させずにぶつけることもできれば、回転の向きを変えて、ぶつかった後の方向をコントロールすることもできるそうです。すごいですね!

 下記のサイトに制作ウラ話をのせています。こちらもぜひどうぞ!

詫摩雅子/元 日経サイエンス編集部
日経サイエンスブログ

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