やってみなくちゃわからない!ホソノ

これまでの大科学実験

実験34「一瞬の王冠」

さまざまな液体で、王冠づくりにチャレンジ。王様好みの王冠は、できるだろうか。

※番組の配信は2014年3月31日をもって終了しました

コラム今回の実験 「一瞬の王冠」

 ミルクの滴がつくる王冠、美しかったですね! カメラの高速シャッターやスローモンション撮影が可能になるまでは、誰にもその存在を知られていなかった“自然の美”です。

 ポタージュスープのような、どろっとした液体ではきれいな王冠になりません。ほかにも、落とす高さや受ける側の深さ(厚み)などが王冠の美しさに影響してきます。

 私は最終段階の予備実験を見学しました。落とす高さや混ぜる赤インクの量などを突き詰めていく実験です。面白かったのは、スポイトを押す人が決まっていたこと。スタッフが「ポタポタ地獄」と呼ぶほど繰り返し何度も予備実験を重ねるうちに、“うまい人”がわかったのだとか。ほかの条件を同じにしても、スポイトの押し具合によって毎回、王冠の美しさが微妙に変わるようでした。予備実験では、落下地点に焦点を合わせたデジタルカメラで動画を撮り、試すたびに王冠の出来具合をコマ送りで確認していました。そうなのです。肉眼ではどんな王冠になったのか、まったくわからないのです。

 ところが、スポイト係さんは映像を見る前から「今のは良かった!」とか「すみません、ダメです」と言うのです。そして、王冠の出来具合は、たいてい彼女のいう通りでした。なぜわかるのかを聞いても、うまく説明できないようでした。

 専門家のお話では、落ちた滴が真ん丸の球(真球)に近いほどきれいな王冠になるのだそうです。滴が球になるのは「表面張力」という力が働くせいです。表面の面積をなるべく小さくしようとして、丸まる力のことです。洗面台や流しなどにあるわずかな水は、真っ平らに広がらず、球形になるように盛り上がっています。この盛り上がりも表面張力の働きです。

 スポイトで1滴ずつ垂らすのであれば、表面張力で真球に近い形になりますが、それでも落ちながらゆらゆらして真球から崩れてしまいます。ましてや、王様の頭に合わせたサイズとなると、ミルクの量も多くなります。ミルクがひとまとまりとして落下するように装置に工夫をしましたが、それでも球とはほど遠い、棒のような状態で落ちていったのはご覧の通り。それでも、棒の先端は空気の抵抗で落ちるのが遅れ、逆側のミルクが追いついてきて、着地の寸前に球形に。

 やってみなくちゃわからない、絶妙のタイミングでした!

詫摩雅子/日本科学未来館

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