やってみなくちゃわからない!ホソノ

これまでの大科学実験

実験43「一瞬で変わる声」

歌手の声を高くする?スピーカーを、飛行機で速く飛ばすと、聞こえ方はどう変わるだろうか。

コラム今回の実験 「一瞬で変わる声」

音を出すものが動いているとき、音の高さは速さで変わるか? それが今回の大実験です。

先に結論を書いてしまうと「変わります」が答え。音源が近づいてくるときは高くなり、遠ざかるときは低くなります。パトカーや救急車のサイレンがわかりやすい例としてよくあげられています。速ければ速いほど、変化も大きくなります。

現象自体は古くから知られていましたが、170年ほど前にオーストリアの物理学者J. C. ドップラーが、どのくらい速くなればどのくらい音程がかわるのかを計算式にしました。

そうなのです! ドップラーさんのおかげでどのくらい変わるかは計算で求めることができるのです。今回の「大科学実験」では、高音が出せない歌手でも高速で移動することで、1オクターブ高いソプラノに聞こえるようになる、というストーリーを考えていたそうです。

ですが、このストーリーだと非常に高速にしなくてはならず、断念。1オクターブは無理でも、なるべく変化を出したいために200kmを出せるレーシングカーなども検討されたようですが、エンジン音が大きすぎるし、予算もあって断念。高いビルからスピーカーを落とすことも考えたそうですが、危険なのでこれも断念。なるべく高速が出て、エンジン音などが静かな装置を探して、たどりついたのが今回のラジコン飛行機でした。

音の変化は計算式で出すことができますが、実際にどう聞こえるかはまた別の話。例えば同じ一音の変化でも、高音と低音とでは「変わったな」という感じ方が違うそうです。これは音の側ではなく、それを聞く人間の側の問題です。予備調査の実験でいろいろな音を試し、880キロヘルツの「ラ」の音に決めたのだとか。やっぱり「やってみなくちゃわからない」。

なお、動いていると音が変化する現象は「ドップラー効果」と呼ばれています。超音波や光、レーダーでも同じ現象が起きます。宇宙が広がっているのがわかったのも、星からの光のドップラー効果が手がかりとなりました。現在の医療の現場では血液の流れ(動き)を調べたり、お母さんのお腹の中にいる赤ちゃんの動きを見たりする超音波装置に使われています。雨雲の動きを調べるレーダーもドップラー効果を応用しています。古くから知られていた現象を数式にしたら、先端技術に利用されるようになった──このことをドップラーさんにお伝えしたいですね!

詫摩雅子/日本科学未来館

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