やってみなくちゃわからない!ホソノ

これまでの大科学実験

実験44「熱で動く鉄」

3mの鉄の棒を温めて、動かそうという大実験。

※番組の配信は2014年3月31日をもって終了しました

コラム今回の実験 「熱で動く鉄」

ナレーションの細野晴臣さんは最後に「この装置、何かに使えそうだね」と言っていますが、はい、使えます。というより、以前はけっこう使われていました。一時、あまり使われなくなりましたが、最近、また注目を浴びています。

この装置は「スターリングエンジン」といい、200年ほど前に発明されました。実験41「手作りエンジンカー」では圧縮された空気がもとに戻る力でピストンを押しますが、スターリングエンジンでは温められた空気が膨張する力でピストンを押します。

発明当時は、蒸気機関が主流でした。ボイラーの中に入った水を外から温めて水蒸気にし、その力でピストンを押します。それまでは人か馬などの動力しかなかったのが、装置の力を使えるようになったので、暮らしは一変しました。しかし、蒸気機関はボイラーの中が高圧になるため、たびたび爆発事故を起こしていました。発明家のロバート・スターリングは、爆発を起こさない安全なエンジンとしてこの装置を考案したといわれています。

番組の本編が始まる前に、スターリングエンジンがピストンから外れて、暴れている場面が一瞬ですが入っています。実はこれ、小さな爆発事故なのだそうです。新品の鉄管で実験を始めてしまったため、中に残っていた水かアルコールなどが蒸発して爆発的な動きとなってしまったのだとか。蒸気機関になってしまったわけですね。温め始めてからほんの数分で起きたそうです。

安全性の高いスターリングエンジンですが、残念ながら効率はそれほどでもありません。燃料をシリンダーの中で爆発させるディーゼルエンジンやガソリンエンジン、それに電気モーターが登場してくると、スターリングエンジンは使われなくなってしまいました。

しかし! スターリングエンジンは熱さえあれば動きます。熱源を選びません。そして、私たちの今の暮らしでは、使われずに捨てられる熱がいっぱいあるのです。例えば電気機器を使うと熱くなりますが、この熱は何の役にも立っていません。こうした熱でスターリングエンジンを動かし、発電に使おうという動きがあります。ガスの給湯器と組み合わせた製品も日本で開発されました。これまで捨ててきた熱で発電できるのですから、お得です。太陽熱と組み合わせる利用もあります。

ガソリンなどのエンジンや電気モーターなどに比べると、まだまだ少数派ですが、省エネのニーズに合わせて復活を果たそうとしているのがスターリングエンジンなのです。

詫摩雅子/日本科学未来館

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