やってみなくちゃわからない!ホソノ

これまでの大科学実験

実験52「貧乏ゆすり発電」

100人の貧乏ゆすりで発電する。1万個の電球がつくか大実験!

コラム今回の実験 「貧乏ゆすり発電」

「大科学実験」では目立つ衣装の実験レンジャーが登場しますが、彼らとは別に黒レンジャーと呼ばれる人たちが活躍する回もあります。そして、この人たちはたいてい大勢で現れます。記念すべき最初の実験01「音の速さを見てみよう」でもそうでしたし、実験35「人間上昇気流」では100人が登場しました。

そして、大勢といえば発電。実験07「人力発電メリーゴーラウンド」、実験27「なわとび発電」。大勢でないと、効果的な発電ができません。電気を作り出すのがいかに大変であるのかがよくわかるのが、発電実験とも言えるでしょう。

「人力発電メリーゴーラウンド」と「なわとび発電」は電気と磁気の性質を活かした発電をしていますが、今回の「貧乏ゆすり発電」で使われているのは圧電素子です。

番組に登場した圧電素子は二枚の金属板でできているように見えたと思います。金属板は生じた電気を取り出すためのもので、実際にしなると電気を生み出すのは、金属板に挟まれている「圧電体」と呼ばれるものです。結晶やセラミックが多いのですが、加えた力に応じて電気を生み出します。

それほど大きな電気を作ることはできませんが、薄くできるので、さまざまなものに使われています。たとえば、自動車で人が座っていることを感知するセンサーや、タッチパネルにも使われています。多くの人が通る場所の床に圧電素子を敷き詰めて、どのくらいの発電が行えるかを試した実験が東京駅の自動改札で行われたこともあります。

今回の大実験では消費電力の少ないLEDを使っていますから、うまく貧乏ゆすりをすれば、十分に点灯できるはずだったのですが、全員のタイミングを合わせるのは難しかったですね。接触不良があんなにたくさん生じるのも、予想外だったそうです。収録現場には圧電素子を扱う業者さんもいて、接触不良を見つけるたびにハンダごてで直していったのだとか。

1回の実験ごとに、いっせいに貧乏ゆすりをすることだいたい5分。でも、休みの時も、自分のパネルの点灯具合を確かめるために貧乏ゆすりを続ける人が多かったそうです。照明を落としたスタジオで黒づくめの人たちが黙々と貧乏ゆすり……。さぞ、異様な雰囲気だったことでしょう。実験を全部で20~30回ほど行ったので、貧乏ゆすり名人たちがスタジオに来てから解放されるまでに7~8時間もかかったとか。予備実験の時から貧乏ゆすりをした若い番組制作スタッフは、やり過ぎて、ついに普通に歩けなくなったそうです。

ところで、最後の5枚のパネル、何だかわかりましたか? 正解の字幕文字は入れないのかと聞いたのですが、チーフプロデューサーに言わせると、あまりていねいに説明しないで、見る人に考えさせるのが「大科学実験」流なのだそう。

ヒントは、あのシーンは英語版には使われていないこと。外国の方にはわからないからです(中国などでしたら、わかるかもしれないけれど)。何だか、もうわかりますよね!

詫摩雅子/日本科学未来館

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